コーヒー豆とは、実際には豆ではありません。コーヒーノキになった果実の種子のこといいます。この生の状態のコーヒー豆を、生豆(きまめ/なままめ)と呼びます。
生豆は新鮮な状態では緑色をしていますが、時間の経過とともに黄褐色に変化していきます。生豆の収穫は、毎年10月1日を、初年度として計算します。
いわゆる新豆のことで、収穫された年度に出荷されたものを指します。特に10月にとれたものをニュークロップと呼ぶこともあります。水分の含有量は12%ほどで、鮮度劣化が少なく香味成分が多いのが特徴です。その分、焙煎にはじっくりと時間をかけてやる必要があります。
収穫された年度に出荷されたものをカレントクロップと呼びます。ニュークロップと同じものを指す場合もありますが、10月以降になった場合に、特にカレントクロップと呼んで、ニュークロップと区別します。ニュークロップよりも青みが薄らぎ、焙煎してもニュークロップほどの強い個性は出ません。焙煎も熱が通りやすく、煎りムラが出にくくなります。日本に入ってくる豆は、通常はカレントクロップです。
収穫から1年が過ぎたコーヒー豆のことをパーストクロップと呼びます。色は薄いグリーンになり、水分の含有量は10~11%に減ります。豆本来の味わいが薄く、香りも減ります。水分が抜けている分、ローストしやすくなりますが、浅煎りでは味がでにくく、深煎りでは甘みやコクがでずに苦くなります。
2年以上昔に収穫されたコーヒー豆のことをオールドクロップといいます。色は黄色に近くなり、水分の含有量は10%以下に減ります。本来の味は失われた状態で、中に火が通る前に表面が焦げてしまうので、深煎りはできません。昔は、意図的に寝かせて熟成させることがあり、パーチメントコーヒーの状態で保管されていたものを指して呼ぶこともあります。
熟成させる目的で数年置いてあった豆を示す意味でオールドクロップと呼ぶ場合に、広義の意味で2年以上前に収穫された豆という意味で、オールドビーンズと呼ぶことがあります。
その昔は、高品質な豆は、2~3年以上時間を置くことで特別な味わいになるとされていましたが、今では新鮮であればあるほどよい、という風潮に代わってきています。しかし、とれたばかりのニュークロップは、水分量が多く豊かな香りがありますが、その分豆の個性を強く反映しやすく、それよりも数か月おいて落ち着かせたカレントクロップの方が味わいがよくなる、という場合もあり、一概にどの状態の豆がおいしい、ということはできません。その豆の特性などにより、適切な期間がある、ということでしょう。