カフェイン(caffeine)とは、アルカロイドの一種です。アルカロイドとは、天然由来の有機化合物の総称で、麻酔作用や幻覚作用があるため、医療に用いられたり麻薬として使用されることがあります。モルヒネもアルカロイドの一種です。
カフェインはプリンアルカロイドの一種で、コーヒー類に含まれることからカフェインと呼ばれています。このカフェインは、コーヒーのほか、緑茶、紅茶、烏龍茶、ココア、チョコレート、コーラ、栄養ドリンク他に含まれます。ただし、お茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつき、カフェイン特有の興奮作用は抑制されます。コーヒー100ml中にカフェインは60mg含まれます。
カフェインは、1819年~1820年に、ドイツの化学者フリードリープ・フェリディナント・ルンゲによって、単離されました。
カフェインの主な作用としては、覚醒作用、脳細動脈収縮作用、利尿作用があります。そのため興奮作用があるとされ、眠気覚ましや倦怠感を打消し、集中力を高めるとされています。また、副作用として、不眠やめまい、頭痛が現れることがあります。特に頭痛はカフェインを常習している人に現れる症状で、その結果、集中力の欠如や疲労感、不安などを引き起こすこともあります。
覚醒作用は、カフェインがアデノシン受容体に拮抗することによりおこる症状です。人が起きているときは、脳神経が興奮している状態にあります。脳神経が興奮しているとき、アデノシンが分泌されています。このアデノシンが一定の水準に達すると眠気を促すようになっています。カフェインは、このアデノシンの水準を判断するアデノシン受容体に影響を及ぼし、その働きを阻害します。そのため、脳神経が眠気を伝えることができなくなります。これが覚醒作用の原因です。
また、脳細動脈収縮をはじめとした交感神経興奮作用は、細胞内cAMP濃度の上昇を引き起こすために起こる症状です。交感神経興奮作用によっておこる現象としては、心筋収縮力の増大や、気管支平滑筋の弛緩などもあります。cAMP濃度が上昇すると、胃酸の分泌をも亢進します。
利尿作用は、尿細管での水分の再吸収を抑制するために起こります。利尿作用があるため、水分補給としての効果は望めません。
このほか、血圧の上昇やエストロゲンの分泌を亢進するともいわれています。そのため、エストロゲンが関連する乳腺症には、カフェインの摂取を控えることがよいとされています。
カフェインは、CYP1A2を阻害する薬剤との相性が悪く、中枢神経に影響を与え、頻脈や血圧上昇を引き起こすこともあるため、カフェインを含む飲料(コーヒー、紅茶、お茶等)で薬を飲んではいけないとされています。
カフェインを摂取した場合、体内におけるその効果の半減期は、約5時間といわれています。また、カフェインを常習している場合、12~24時間で頭痛などの禁断症状がおこり、20~50時間後にその症状が最も強くなります。禁断症状が現れた場合にカフェインを摂取すると30分~1時間程度で症状はきえますが、摂取しないでいると2~9日の間、禁断症状が続くことがあります。
カフェインは、尿酸として、尿とともに体外に排泄されます。
このように様々な症状を引き起こすカフェインは、その効果よりも常習性は低いため、禁止されているものではありませんが、過剰な摂取は健康によくないとされています。