カッピングとは、コーヒーのテイスティングのことです。コーヒーの持つ香味を、味覚や嗅覚などの五感を使ってコーヒーの評価をします。カッピングはコーヒーの風味をダイレクトに感じることができるため、産地で生豆を買い付ける際に行い、購入の判断材料とすることもあります。
カッピングによって、生豆の品質と、焙煎の品質を判断します。コーヒーの評価には、アロマ(香り)、アシディティ(酸味・爽やかさ)、ボディ(コク)、アフターテイスト(余韻)、クリーン(透明感)といった指標があります。
カッピングには、SCAA方式とCOE方式があります。
SCAA方式(アメリカスペシャルティコーヒー協会方式)とCOE方式(カップオブエクセレンス方式)の違いは、チェック項目や方法の違いです。SCAA方式は、クリーンカップ、スウィートネスという2項目がチェック項目で、フレグランスやアロマの点数も加点されます。しかし、COE方式ではそれらは加点されません。こうしたことから、SCAA方式の方がCOE方式よりも点数が高くなりやすい傾向にあります。また、SCAA方式は、大きなロットにおいて評価することに向いており、COE方式は、コンペティションなどにおいて評価することに向いています。
COE方式は、SCAJやSCAEでも採用されている方式です。
カッピングの際は、フィルターを介さないでコーヒーを抽出します。そのため、コーヒーの味をストレートに感じることができますが、抽出時の条件に若干でも差異があると、評価が違ってきてしまうこともあります。そのため、カッピングを行うには、コーヒー豆の量や焙煎度など、コーヒーを抽出する際の条件をすべて一定にしなければなりません。
カッピングの方法としては、まず複数の同じ大きさのカップを用意します。それらにコーヒー豆を挽いたものを同量入れ、乾燥した粉の状態でまずは香りをかぎます。これを、「ドライの状態の香り」と言います。
次に、カップに100ccほどお湯を注ぎ、2~3分待ってから、香りをかぎます。これを「クラスとの状態の香り」といいます。
さらに、カッピングスプーン(レンゲのような大きいスプーン)で、グラスの底まで入れて大きく数回かきあげます。浮き上がってきたアクや豆は取り除き、コーヒー抽出液をスプーンですくって口の中に霧状に吸い込みます。これにより、酸味、苦み、甘み、余韻、コクなどを感じます。
最後に、徐々に冷めている際にも味わい、その変化をみます。
こうしたカッピングは個人で行うことももちろん可能です。カッピングを繰り返すことで、よりコーヒーの味の違いがわかるようになります。一般的にはコーヒーの酸味を苦手とする傾向にありますが、カッピングなどでコーヒーを味わうことを楽しめるようになると、酸味やその中に感じる甘みにおいしさを感じられるようになるようです。