代用コーヒーとは、コーヒー豆以外の原料でつくったコーヒー風の飲料のことです。
コーヒーはアフリカや東南アジア、南米などで栽培されており、それ以外の国はコーヒー豆を輸入するしか入手する手段はありません。しかし、コーヒー豆が希少価値をもっていたり、戦時中や、コーヒー豆の価格が暴騰しているときには、その入手も困難になります。そのため、ほかの原材料を使用してコーヒーの代わりにしたものが、代用コーヒーです。
また、代用コーヒーは、本物のコーヒーに混ぜることで原価を安くするという目的で、悪質な業者が使用することもありました。
代用コーヒーとして記録に初めて現れるものは、1777年のドイツで、ビール・コーヒー条例が発令されたときでした。この条例は、ドイツのビール産業がコーヒーの台頭によって打撃を受け、コーヒーの輸入による貿易への影響を避けるために、コーヒーに高い関税をかけたものです。この条例によりドイツ国内ではコーヒー価格が高騰し、庶民の手にコーヒーがわたりにくくなったため、それでもコーヒーを飲みたい庶民に提案されたのが、代用コーヒーでした。
代用コーヒーの原料として用いられるものには、チコリ、タンポポの根、ゴボウ、ジャガイモ、サツマイモ、ユリ根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、黒大豆、ドングリ、アーモンド、大麦、トウモロコシ、玄米、根セロリ、パンの耳、綿の種子、オクラの種子です。これらを煎ってから粉末状にして、コーヒーと同じようにお湯で抽出したエキスを飲みます。
代用コーヒーは、健康食としての一面もあります。ほとんどの代用コーヒーの原料にはカフェインを含まないために、ノンカフェイン飲料として消費したり、原料によっては栄養価が高いものもあるために、健康飲料の目的で飲む人もいます。
特に、チコリはカフェインはないもののコーヒーの成分であるクロロゲン酸が含まれているため、ロブスタ種に近い味わいになるといわれています。また、大豆にはカフェインもクロロゲン酸も含まれていませんが、タンパク質などを豊富に含むため、健康食としての側面を持っています。