ガスフラッシュ(GF)とは、ガス置換包装のことで、密封した包装内の空気を不活性ガス(窒素や二酸化炭素)で置き換えることで、酸素濃度を低下させて、酸化による品質の劣化を抑える包装技術・形態のことです。ガス充填包装ともいいます。
酸素による油脂、ビタミン、色素、香気成分の酸化は、食品の劣化を促進します。また、害虫や菌類なども酸素があると繁殖します。これらを防ぐ方法として、酸素を別の期待に置き換えて密閉する、GFが考えられました。
もともと中国やイギリスで行われていた方法で、容器内を燃焼させたり炭酸ガスで空間を埋めて酸素濃度を薄くして長期保存していました。
また、真空包装や脱酸素剤封入包装も、酸素量を減らすという観点では同じ方法といえます。しかし、GFの方が食品に手を加えず包装だけで処理できることから、広く普及することになりました。
GFによる保存効果には、以下のものがあります。
しかし、GFを行っても避けられない問題もあります。例えば、病原性大腸菌O-157に代表される、嫌気性菌と呼ばれる酸素のない状態で繁殖する菌は、GFによる効果は望めません。もちろん、GF自体の質が不完全であれば、そもそも酸素濃度を減らすことができないため、不活性ガスの選択の誤りや置換率、包装形態によっては品質劣化を招きます。
ガス充填包装に用いられるガスとしては、窒素、二酸化炭素があります。また特殊な用途では酸素も用いられます。また、これらの混合ガスが用いられることもあります。
窒素は、酸素を除去することが目的で、菌を除去する作用はありません。しかし、反応性がないため、食品の味に影響を及ぼすことがありません。これに対し、二酸化炭素は、菌や虫の活動を抑える働きがありますが、水や油に溶解するため炭酸となって食味に影響を与える場合があります。酸素は、鮮魚や生肉を綺麗に発色させるために用いられます。
コーヒーをGFで包装する場合には、主に香りの劣化を防ぐために、窒素が用いられます。
GFはガス充填包装の一形態で、ピロータイプの包装機にガスフラッシュ装置を設置し、センターシールされた筒状フィルムの内部に、包装したい内容物を送り込むと同時にガスを吹き付けて空気を追い出して不活性ガスだけにした状態で切除し密閉します。ガスを吹き付けるだけであるため、食品自体が空気を含みやすい構造になっていると、不活性ガスの置換率が低くなります。
GF以外のガス充填包装の方法としては、ノズル式、チャンバー式などがあります。