さび病とは、さび病菌と呼ばれるカビが原因で発生する空気及び水によって伝染する病害のことです。さび病はコーヒー以外に野菜類で発生します。英語ではcoffee rustといいます。さび病には、I~XXXXという40種類の型があります。
さび病には、同じ種類の植物で繁殖する「同種寄生菌」と、複数種の植物館で交互に繁殖する「異種寄生菌」があります。同種寄生菌は、冬になって枯れた植物内で越冬し、異種寄生菌は、別の植物を中間宿主として越冬します。
コーヒーノキがかかるさび病は、コーヒーノキがかかる病気の中で最も厄介なものです。その正体は、コーヒーさび病菌(Hemileia vastatrix)と呼ばれるカビ菌の一種です。さび病にかかったコーヒーノキの葉は、赤さびのような斑点が発生し、やがて葉全体に広がり、枯れ落ちます。さび病は葉から葉へと伝染し、2~3年でコーヒーノキ全体を枯らしてしまいます。こうなると、そのコーヒーノキは二度とコーヒーチェリーを実らせることはできなくなります。
さび病の恐ろしいところは、空気感染による感染力にあります。さび病菌の胞子は風に乗り、葉から葉、木から木、農園から農園、国から国へと、被害を広げていきます。さび病を予防することはできず、感染してしまうと防除することは不可能と言われています。
これまで大規模なさび病は2度発生したと考えられています。1度目は、1860年代~19世紀末にかけて、インド・ジャワ・セイロンなどの東南アジアで発生しました。2度目は、1970年代に中南米で発生しました。
さび病に対抗するには、さび病に対して耐性があるコーヒーノキを栽培することです。病気に弱いアラビカ種にかえて、ロブスタ種やゲイシャ種、それらをアラビカ種と交配させて品種改良をしたものは、さび病に耐性があります。