シェードツリー(日陰樹)とは、日陰をつくり、ほかの樹木を直射日光から守るための樹木のことです。
コーヒーノキは、直射日光に当たりすぎると葉が焼けてしまうため、これを避けるために産地の農園では背の高い樹木を植えて、シェードツリーとしています。またシェードツリーを植えることは、コーヒーノキ単体ではなく様々な樹木が混在する環境を生み出すため、より自然環境に近い状態ができ、昆虫や鳥といった動物が生息しやすく、結果として環境に配慮していることになります。また、落ち葉は良質な肥料となり、よい土壌を育成します。シェードツリーは適度な日照条件を保つこと以外に、温度差の緩和、侵食の防止、低肥料化、防風にも役立ちます。
理想的なシェードツリーとしては、少ない水で育ち適度に日差しを通すマメ科の高木樹が適していますが、コーヒーにおいてはバナナやマンゴーを用いるのが一般的です。
しかし、シェードツリーを植樹することは、コーヒーノキを植える面積が狭くなることを意味しており、単位面積当たりの収穫量が減少してしまいます。また、コーヒーノキとシェードツリーが混在するため、収穫に機械が使えず手摘みになるため、手間がかかるようになります。このことから、それほど日差しが強くないブラジルなどではシェードツリーはあまり使われません。
また、直射日光に強い品種に改良されたコーヒーは、シェードツリーが不要になり、機械による収穫ができ収穫量が増えるため、大規模プランテーションで採用されます。ただし、直射日光に強いとはいえ、単一種類だけを栽培することは、農薬や化学肥料がなければ成長が難しくなるため、自然環境を破壊してしまうという問題もはらんでいます。