真空充填包装(または真空包装)とは、密封した包装内の空気を吸引して、包装内部を真空状態にする、包装形態のことです。包装内の酸素を除去することで、包装されている食品などの変質を抑えることを目的として、用いられます。色、味、栄養を変質させにくく、ある程度の保存も可能なので、広く普及しています。 とはいえ、完全な真空にすることは困難であるため、多くの場合は、熱湯殺菌や防腐剤を混入するといった工夫を加えます。
英語では、vacuum packagingといいます。
真空包装は日本工業規格(JIS)において、「内容物の充填時に容器から空気を吸引排気して密封し、物品の変質などを防止することを目的とする包装」と定義されています。また、容器にはガスバリア性の優れた材質を用いる、とされています。
真空包装は、酸素による酸化や好気性菌の繁殖などは抑えられますが、嫌気性菌の繁殖を抑えたり、やわらかくて形が変わってしまうもの、水分を多く含むものには適しません。
真空包装を行う機械には、ノズル式とチャンバー式があります。
ノズル式は包装の口にノズルを差し込み、真空ポンプで脱気する方法で、より簡易な方法とされています。
真空包装の主流はチャンバー式で、真空にできるチャンバー(ボックス)内に、内容物を詰めた包装をセットし、チャンバー内全体を真空にしてから、包装を密封する方法です。
コーヒーとしては、1900年7月にアメリカの商社ヒルス社で世界初の真空パックのコーヒーができあがりました。これを受け、1913年に、コーヒー業界全体が真空包装を採用しました。
コーヒー豆は、酸素に触れると酸化が進み、酸味が強くなってきます。そのため、真空包装用の包装を使って、真空包装をすることで、酸化を防ぐことができます。しかし、新鮮なコーヒー豆は、時間の経過とともにガスを排出するために、包装が徐々に膨らんできてしまいます。このときの排出量も豆によって異なります。ガス量は深煎りの方が多くなります。鮮度の高い豆はガスの排出量は異なりますが、古い豆は、ガスを排出しません。ガスで膨らんでしまうと結果として劣化を招くという説もあり、排出されたガスを透過して逃がすような包装が望ましいという話もあります。
真空包装は、ガス置換包装とは区別されます。